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ホームフォン・カルマン博士の方程式を検証し新たに探究する。
    
 ラジコン技術 2020年12月号
 電動モーターのプロペラ効率(ちょっとだけ理論的なRC技術の話)を読んで思った事。
力を抜いた記事ですが、おかしなデータと計算結果があり、SI単位でない数値解析を指摘し修正を兼ね、軽薄にならないよう私が解説する事にしました。 
(小川精機の誤りと技術見解も頂いてデータ修正されました。11×6プロペラの効率が約60%に向上します。 ~2021年3月) 
空気密度単位はSI単位のkg/m^3を使うべきです。学術論文でもそうですが、論考や新しい学説には議論と物議が必要です。
(ある参考書に2003年現在でもSI単位が充分に浸透していない旨の文言が見られます。理学に傾倒してはいけないが工学だけでも成らない。)


     図中ηは総合効率なので、4セルのESCは効率が低め。15X7Eプロペラはモータと相性が悪くて発熱し効率が悪化している!
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推力方程式。悩ましい”プロペラ効率”とはどういう意味があるのか?

 私の時代は、光の三原色を知らなくても難関国立大学に合格できました。今でもそうかも知れません。
 青色LEDが日本の中小企業で発明されて、世界を変えました。それはノーベル賞になりました。
 青色だけで世界が変わるというのは、想像を超えた全くの驚きでした。  
 世界のエネルギー政策から見て、電球のような効率の悪い作りの方が消耗や電気消費が増えて儲かるかのようなイメージでした。
 効率の悪い安モノを使って燃料を焚いてもらうなども、将来性のない技術ですね。環境問題でそのツケを払っています。
 プロペラがなかなか進化しないのは、技術が天井を衝いた訳でもなさそうです。温故知新でありニューフロンティアと考えています。


推力方程式については、高校レベルの高等数学で航空工学基礎を学ぶことができると知る事ができたのは最近の事です。
旧帝大工学部出身のエリートがこの問題を大学の教科書で学び、人力ヘリなどの技術開発を行った形跡があるようですが・・・
方程式を本当に理解されていたのだろうかと、私は疑念を持ち続けています。 
私の観点で、航空工学の父と言われるフォン・カルマン博士のシンプルで難解な推力方程式を解説してみましょう。 

フォン・カルマン博士の推力方程式は”物理法則”と言われています。 
実用的な効率ηが省略されている理想気体での理論式だからと思いますが、この点を解説した和書を知りません。
その証拠が、電動モーターのプロペラ効率(ちょっとだけ理論的なRC技術の話)の迷走です。
(ここでの効率は何の効率なのか良く解りません、強いて言えば静止推力効率なので紛らわしいです。)
フィギュアオブメリットの分母をバッテリー出力(プロペラシステムの入力)という総合的効率で考える斬新な論考ですが、
その内容と結論はカルマン博士の推力方程式の物理法則に反しているようです。

  それでは、私がフォン・カルマン博士の推力方程式に効率ηを与えてみましょう。

 (工事中。)・・・効率ηが高いダイアの小さいプロペラよりも効率ηが低いダイアの大きなプロペラの方が性能が良くなる。 
 
 ここでのηは、馬力と静止推力だけについてのηであり、停止している推進器の巡航経済性や性能と無関係です。
このようなηを与えても推進器の性能を評価する事ができず、意味が軽薄である事が理解できます。
カルマン博士の方程式は、ηを与える事なく物理法則である”ダイアと馬力のT/P比率”が示す性能に意味があるのです。
しかしながらフォン・カルマン博士の推力方程式は、η=1.0の理想的パワーPiを定義した時に、
Pi/T=(1/2)^(1/2)*(T/ρS)^(1/2)と書き直す事ができる点にも注目されます。
(推力面のより大きいもので最適効率化されますが、ηとロータ軸へのパワーPrを与える事によってしばしば
ヘリコプターのフィギュアオブメリットと同義に扱われる事があるようです。カルマン博士は、
この ”運動量理論での推進力エネルギーが空気からどのように伝えられるかの理論は何も与えてくれない” と仰っています。
翼素理論などでこの問題を解決できるはずですが、詳細不明です。私は増圧作用の新しいアプローチに挑戦し推力の研究を続けています。)
性能指標であるフィギュアオブメリットの評価はパワーと静止推力の関数でローター回転数と無関係な事も注目されます。


◆推力方程式と地面効果についての一考察(推力方程式を噴流の力から記述する)

推力方程式を噴流の力から記述する
噴流v2の力、J=ρS’*(v2)^2 から J=2ρS*(v1)^2 が導かれるので v1^2=J/2ρS
 静止推力Tから、誘導パワー Pi=T*v1
   v1を消去しT^2*J=2ρS*Pi^2
 J=T とすれば(高度にも依存しない)この関係がある限り T^3=2ρS*Pi^2・・・①

J(噴流の力)=T(静止推力)の関係ある限りで成立する結果は、運動量理論の推力方程式が効率100%(P=Pi)の時はIGEであると考えられます。
(∵J=Tが成立条件になっている。J=Tの関係から地面との距離の関係、地面効果であるIGEとOGEの全容を明らかにできる予想あり)
見かけ上、噴流で排気せず損失のない状態が理想的(効率100%)なローターブレードである事と何ら矛盾しません。
(運動量理論の推力方程式のパワー効率100%を越えて静止推力が大きくならない、理学的限界の定理があると考えて良い)
指向性のないOGEが正確な静止推力で、廃棄だけの噴流は損失です。暗黙の了解によるBLACKBOXになっている可能性があるのではないでしょうか。
以上のように、この分野には今でも鉱脈のようなお宝テーマが埋まっています。

更に①式と地面効果の理学的関係を考察・・・
Chesemanの式をCt(H/D)と置くと Tige/Toge=T/T∞=Ct(H/D) と定義されています。
   T∞=2ρS(M*P)^2 が導かれるので T^3=Ct(H/D)^3*(2ρS(M*P)^2)
  において、 地面効果を受けた静止推力Tが 地面効果内であるTigeのシンボルではH/D<1.0の時に
T^3=Tige^3=Ct(H/D)^3*(2ρS(M*P)^2)
即ちTがIGEとして表現される一般的条件は、H/D<1.0です。
それでは、この時のMはどうなるかを考えてみます。MはH/Dの関数なので
   M(H/D)^2=(W/Ct(H/D))^3/(2ρS*P^2)
において、 H/D→0の極限を考察します。
  limM(H/D)^2=(W/Ct(H/D))^3/(2ρS*P^2)
H/D→0では分母PはPiへ向かってゼロへ収束し、分子 W/Ct(H/D)も Ct(H/D)=∞ より、1/∞のゼロへ収束します。
M(0)^2=0/0=1.0 ∴M(0)=1.0(∵諸説あるが〈※〉特殊条件の数学的極限が1.0 H=0またはD=∞で1.0に収束すると考えられる)です。
M=1.0の効率100%(P=Pi)ではIGEの地面効果を受けていて、OGEとなるのはH/D>1.0 となる事が解ります。
IGEが静圧回復で表現されるなら、実用域OGEでは有り得ない損失回復なので実際の空気での実用的効率の上限値が100%未満で存在する事になります。
(フィギュアオブメリット=1.0は仮想現実的で、現実はそれ以下で限界に達している。これは新しい知見でMの定義上の問題になると思います。)

 〈※〉表計算ソフトによる計算(Mの変化を直感的に診る!)ですが、算術的割り算の0/0は1ではない事に注意して下さい。
〈※〉表計算ソフトによる計算結果

((お宝1))要するに地面効果とは何なのか?(空気のクッションと静圧回復、Chesemanの式に市民権あり。)
①式はパワーPが一定の元で静止推力を解析する地面効果にも有用な式ですが、Cheesemanの式の変形からも誘導パワーの静止推力がIGEである事を示せます。
①式でJ=Tの時に、T^3=2ρS*(ηP)^2 になるのが効率100%(η=1.0)の時にIGEを意味するのであれば
地面効果T/Togeは、Togeが仮にη=0.5の T^3=0.5ρS*P^2 であった場合に、空気密度の変化が無いと理論的にT/Toge≒1.6 となります。
Cheesemanの式によれば、H/D≒0の地面効果最大の時は1.6をかなり越えますが、空気密度の増加分(空気のクッション)をキャンセルすれば、概ね
T/Toge≒1.6 であると言えそうです!(空気密度変化が無い地面効果の立上がりとCheesemanの式の平均を結ぶと T/Toge≒1.6)
即ち、この事例ではη=0.5から1.0までが高度Hの変化によって最大の地面効果を得るという事になります。お解り頂けるように利得でなく回復です。
噴流で排気せず損失のない状態までの地面効果の原理は ”静圧回復”と言えるのではないでしょうか。
(東昭先生の著書で、地面効果と吹き下ろし速度低下の関係が静圧に向かう事を示すデータあり!)
Cheesemanの式をCt(H)とすれば、Ct(H)=T/Toge(※H/2R>0.125~0.2)∴T=Ct(H)*Toge・・・TはCtによってHの関数になっている。
※Cheesemanの式には空気密度に関する文字がなく、H/2Rが0から0.2前後までの値もなく、地面効果と空気密度(圧力増大)を関連づけていないようです。
この点の理解に努めると、空気密度と圧力増大は地面効果と関係しても支配的要因ではない可能性が高いと言えそうです。
 
Cheesemanの式、T/Toge はTogeが多種多様な大小ローターの静止推力であっても一律で不問です。
地面効果を新しく定義すると、Tige/Toge=((ρige/ρoge)/η)^(2/3)(∵Tigeは地面効果の最大値。ρige/ρogeは空気クッション)となりますので、
Togeのηと地面効果の関係を詳しく知る事ができそうです。(圧力増大は地面効果と無関係ではないが支配的要因ではない・・・fig.1)
(fig.1)ηはフィギュアオブメリットMに同じとなっている

これによれば、η=1.0の時はρoge≒ρigeで Tige/Toge≒1.0・・・地面効果が生じませんがηが小さい程に地面効果が大きくなり、回復のようです。
私はこれを静圧回復(ダウンウオッシュの反射と相殺の関係は調査中で無定義)と考えています。
Cheesemanの式については、多くの論文や専門書にも引用され、疑いもなく市民権を得ていると思いますが、空気の状態や大小ローター性能により
Togeが多種多様であるに関わらず、定量的な数式として地面効果が一律に扱われている不思議があります。
要するに、フィギュアオブメリットの変化でCheesemanの式が変化すると思います ・・・一律ならばそれはなぜ?この不思議にもお宝感あります!
(世界的なフィギュアオブメリットの平均0.6前後であれば、概ね一律になるのだろうか)
※ホバリングが静圧回復の影響を受けるなら、そうでない固定翼では、空気密度や圧力上昇が支配的な要因になると考えられます。

((お宝2))ホバリングの運動量理論を正しく解釈する(誘導速度の初速が加速して推力に関与する)
・・・理学的なM=1.0は 実在の空気力学的に最高効率の定理と思えない、噴流の損失とは何かの問題がある。

◆シコルシキー賞を獲得した技術と物理法則の研鑽。

ATLASの成功要因
YURI-1の飛行重量は88kg、ATLASは130kgです。このグラフから”実在空気での効率”と”高度3mでの地面効果”の勝負と言えます。
青丸が理想空気での静止推力。公知理論※の地面効果は少なくともローター直径33%の3mで約1.2倍、15%の3mであれば1.35倍以上という最小試算。
達成(1000-1100Wで130kgf以上)から逆算すると、実在空気での効率は0.5-0.55と推察されますが、
ATLASの成功要因を分析すると、YURI-1の方は理想空気でないと目的を達成できないように見えます。
※公知の地面効果の計算は「航空を科学する(上)」P184を参照して引用した概算となっています。
最新の研究でマルチロータでは地面効果が増加するとされているので概算を最悪値とすれば、ATLASのローターは大きすぎると考える事も出来ます。
(マルチローターの地面効果増大のテーマは、YURI-1の苦戦の動機から基礎研究を推進しても良いと思います。)

◆フィギュアオブメリット(性能指数)の定義と、公開データの信憑性と将来について。
これまでのフィギュアオブメリット(FM)は、ローター軸へのトルクパワーメータなどからPrを求め、Pi/Prから計算するなどの
テールローターを含まないローター効率とホバー効率の混乱や、少なからず測定誤差の問題も含まれるような信憑性のない
過去の値がネット情報で公開されていると言われています。

現実には0.6にも満たない0.55程度であるという情報も頂いていますので、専門書で掲載されているような技術データもあまり参考にならないと思います。
電動化により、バッテリーの出力はヘリコプターシステムの入力パワーとして、信憑性のある総合効率FM
(ホバリングに必要な反トルク機構のテールローターやローターの吹き下ろしが胴体に当たって下向きの力を発生することで、
ローターの正味推力が大きく減少することなどを全て考慮したトータルなFM)
が正確に求めやすくなっている事を鑑みて下さい。ラジコンの電動ヘリコプターでは、いとも簡単にバッテリーの電力パワーメータから
総合効率FMを計算して求める事ができますので、この新しく有効な総合効率FMを将来性のある電動機性能の指標として定義できる事をご理解下さい。

 FMの定義=理想的なロータのホバリングに必要なパワーPi/実際にホバリングを行うに必要なパワーP

という従来からの定義は、実際にホバリングを行うに必要なパワーをどこからの出力なのか柔軟に対応し、誤解なきように注釈する必要ありと考えます。
ロータ効率とホバー効率、FMの混乱と誤解があるようなので文献の参照ではご注意頂くと共に、改善が見込まれます。
  (※著名な専門書に、FMの指標については”しばしば用いられる、”という表現があるので使用には柔軟性が伴なうという見方もできる。)

◆敗軍の将は兵を語らず?(工事中。)
1994年3月7日に日本航空協会の公式試験で人力ヘリコプターであるYURI-Iがクワッドローターを装備して高さ20cm、滞空時間19.46秒を記録。
この成功でクワッドロータの有効性が示されたとされています。
受賞者の喜びの弁で「われわれはYURI-1のアイディアに啓発された」と述べているそうですが、この斬新なクワッドローター形式を
ATLASが踏襲しており、現在のマルチロータードローンの原型になったとも言われています。
http://www.aerovelo.com/atlas-helicopter
現代のライト兄弟



  人力ヘリコプターの技術研鑽は、転移揚力式リフトファンへ継承されると私は思っています。
  ”転移揚力式リフトファンというのは私の試作的仮称”ですが、ローターブレードでは常識となっている
  バリアブルピッチの是非と検討は今後の課題になるでしょう。


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   (店主@ラジコン技術誌の特別取材員)
 
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