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ホームLIB記念特集


 ■はじめに(謝辞)

 2019年のノーベル化学賞は、“for the development of lithium-ion batteries”
 『リチウムイオン電池の開発へ』という事になりました。
 ハイレート電力用として新たな市場と国内の普及に関わった小生としては、この上なく悦ばしい事であります。
 2019年のラジコン技術12月号に、関連記事を執筆させて頂きましたが、吉野博士からの直筆メール回答や
 旭化成からの資料協力(出典クレジット)に際して心より感謝申し上げます。
   記念すべき関連技術テーマを少しだけ、ここにご紹介し謝意、謝恩の替わりとさせて頂きます。

 電池容量に関して、mAhは放電容量であり、次元は電気量クーロン(C)です。
 クーロン(C)は仕事をしません、電流は、1秒間に何クーロン流れたかでアンペア数が決まります。
 つまり、動かないクーロン(C)は仕事をしないし、負荷にエネルギーを与える事が出来ません。
 電池はエネルギーを蓄える装置ですので、動かないクーロン(C)を多く持っていても意味がないと思います。
 少数のクーロン(C)でも電圧をかけて速く回せば、大きなエネルギーを負荷に与える事ができるのです。
 これが、mAhとWhの大きな違いですが、分かりやすく説明している例がありましたので更に調査研究しています。

Whのイメージ

 一般的に、セルメータ容量計の%は放電深度の%表示という事でした。
 例えば 1S1000mAh、2S1000mAh ともに同じ容量ですが電圧が異なるのでエネルギーの容量は全く異なります。 
 電池はエネルギー容量で表示されるべきと考えます。

 放電深度という指標は、同じ化学組成の電池ならば電圧と放電深度の関係は関数となるので
 それを応用したのがバッテリーチェッカーのセル容量計です。
 放電深度は、全mAhに対する割合(%)です。
 しかしながら、電圧変化に対する容量の変動が大きく、精度が難しいようです。

    一般に容量mAhの10C放電では、0%の空になるまで6分になる概算なのですが、
  技術データによれば4.2-3.5Vの使用レンジで、最終電圧3.5Vでも約10%の残量があるという事になっています。
  それを信用すると、私が持っているバッテリーチェッカーは割と正確で 安全率が利いた軽減容量を示していますが、
 20%以下はパワーがないという感覚を受けます。
 つまり、20%の残量は使えません。
 電圧と電流の積で仕事率が決まるので電流があっても電圧が低いと、馬力がないというイメージで理解する事が出来ます。
 また、20%の容量以下で一気に持続力が無くなるので、この点からも表示機の値はあまり信頼できないというか、
 そのmAh容量とは何の事で、何を測っているのかという事になります。
 そこで登場するのが、Whという単位です。これはエネルギーの次元を表現しているのです。

  ■リチウムバッテリー容量計の精度について。
 スマホやモバイルパソコンのバッテリーは搭載されるリチウムバッテリー容量が最初から決まっています。
  充電から放電までの電圧変動やシーケンスをチェックすれば高い精度で残容量を絶対値計測できるのですが
  ホビー用途のバッテリーセルチェッカーは、色々な容量、セル電圧を持ってきても残容量を計測して表示できます。
  常温常湿の日常条件とは言え、これはとても不思議な事です。
  どのような原理で計測を行い、精度はどの程度なのでしょうか。

放電深度(DOD)のイメージ
イメージ※放電深度(DOD)は、Q-V平面上で電圧Vが電気量Qに比例する関数(OCV-SOC特性)。
内部構造をコンデンサ容量Cfに置き換えて考えると Q=Cf*V=i*t(A・s)によってmA・hに単位変換されたもの。

 これらを明らかにする事は非常に重要です。
 セルチェッカーのメーカーからは、「容量は電圧チャートによって導き出される%表示ですので目安程度に留めて下さい。」
 という回答で、納得できないままとなっています。
 これは同じである筈の電圧チャートがメーカー毎に精度が違うという可能性がありますので調べてみました。
 (セルの種類によっても電圧チャートは異なるので実験ではLIPOに限定し、値が落着いてから測定しています。)

イメージ

 標準的なLIPO単セル電圧が4.2-3.5V(100-10%)までを考えると、ALIGN製品は旧式でもかなり正直な表示で誤差も少ないようですが
 よく考察すると、10C放電で6分の限界という基準計算がありますので、それに近似したGTpower製品の方が優れていると言えます。
 満充電で正確な4.2Vになるような充電設定が重要ですが、その条件で目安以上の精度が出ています。
 補正があるので、警告の意味で少なめの残量表示をするという考え方は、過放電対策や安全面でも優れています。
因みにGTpower製品は、28%程度から急に14%まで補正されるので、”残量戻り”で14%から急激に残量が増加する事があります。
(各測定は、60s後の安定で行いましたが”残量戻り”の現象も精度に影響するので、調査研究の必要があると思います。)

  仮に、バッテリー内部構造をコンデンサに置き換えて放電を考えると原理的な事が解ってきます。
 (バッテリーは化学変化で起電力を起こすので厳密には異なる)
  コンデンサの放電深度が、電荷総量mAhに因らないという事になりますが、やはり残量容量%は放電深度を表しているようです。
(電荷総量は放電容量mAhと同じ意味で、その残量比率%は放電深度で残量容量に同じと考えられる。残量容量=100%-放電深度%)


  ■リチウムバッテリーが劣化するとどうなる?
  新品のリチウムバッテリーなら、バッテリー容量計で割と正確に残量容量mAhを表示できる事を示しました。
  容量計の電圧チャートが新品の特性を表示するなら、劣化するとどうなるでしょうか。
  これが、”目安参考程度”の根拠になるかも知れません。参考までにLIPOの劣化データをお知らせしたいと思います。

イメージ

 このように、今回の実験では容量mAhが約2/3に減少していました。
 発熱がありましたので内部抵抗の増大で熱エネルギーで消耗したと考えられますが、見かけ上の容量が減少しただけなので
 劣化に関係なくバッテリー容量計は、満充電に対して相対的な正しい残量%を示しているようです。
 しかしながら燃料タンクで言えば、使う度に燃料が漏れて燃費が悪くなっているような状態と考えられます。
例えば、30%の残量を示していても、劣化を検知して診断する能力が無ければ、予定よりかなり早く空になります。
 残量が少なくなれば、電圧も低くなるのでオートカットがかかったり、電流が流せたとしてもパワー(馬力)が出ず、墜落に繋がります。
 mAhという容量の残量表示%は、燃料タンクの容量と同じ意味にならないので 
 ”目安参考程度”という考え方で良いのかも知れません。
 

イメージ
◆Q-V平面とコンデンサーの放発熱について
 私の調査でLIB、LIPOにはメーカー毎に測定条件で電圧チャートが異なる事が解りましたが、
 コンデンサ構造と熱力学などの重要な特性が決まると考えられています。
 例えば、コンデンサ構造の等価回路で Q-V平面上の電圧(V)と相対残容量(%)が一定の関数になる事が解っています。

 静電容量一定でQとVが一定の関数となるが、実際の静電容量が一定とは言えない。
リチウムバッテリーもQ-V平面上の電圧(V)と相対残容量(%)が一定の関数になる事が解っていますので、
コンデンサとの類似性から 時間が媒介となっているQ(t)とV(t)の関数を調べれば、それぞれの特性を調べる事が出来ると思います。
 また、コンデンサー構造を含むデバイスの充電では吸熱効果を伴うという現象を急速充電の冷却に応用しているようですが、
 放電では可逆的に放熱するので、物理的なエネルギーロスになるという課題があります。
 この点は産総研にも問い合わせましたが、まだ充分に解明されておらず、性能向上の余地があります。

ケミカルインピーダンスアナライザも調べていますが、その原理によりエネルギーロスの物理的要因が鑑識できると思います。
(キャパシタ放電関数の一般解のパラメータ変動とバッテリー特性分析には、”セル等価回路”が重要。)
物理的な分析が、化学的な結果と一致するかどうかポイントで、化学的な特性が物理でも説明されうるか調べています。

◆ナイキストプロットと ”セル等価回路”
ケミカルインピーダンスアナライザの調査では、ランドルス型等価回路がよりシンプルにLIBの放電特性をモデル化できそうです。
ナイキスト平面
ランドルス型等価回路は、高周波正弦入力によるナイキストプロットから推測されるセル等価回路です。
この周波数特性は、LIBの劣化を実験的に表現する事がありますが、放電の過渡現象から求まる微分方程式の一般解を
Q-V平面上で表現した方が、より直感的に分析できると考えています。
その一例が、前述のコンデンサーの電圧(V)と残量(%)の関係がバッテリーと同様に一定の関数になる事です。
これは、Q-V平面上で両者を比較すれば解る事ですが、同時に両者の違いを決定づける同類項がある事に気づきます。
同類項が能動的かどうかで両者を分ける?という仮説が証明できれば、両者の発展に貢献できるかも知れません。 

?

◆原点に回帰してバッテリーの直列、並列繋ぎを ”コンデンサー”として理解する。
バッテリーとコンデンサーについての関係性をネット検索してみましたが、多くが双方相異なるという説明でした。
確かに、極板に電荷(静電気)を充放電するコンデンサーと電気化学反応で電気を充放電するバッテリーの原理は異なりますが
考え方を変えて構造と構成を見れば、放電特性も似ていると思います。
バッテリーとコンデンサーの類似関係がシンプルな計算で解る。
この例から推察すると、コンデンサーの直列が何列であっても電荷が加算されず、単セルの電荷量と同じになりますので 
これは、バッテリーの直列接続でも電荷量を意味する容量mAhが一定である事と同じと考えられます。
※コンデンサーの場合は、電荷QクーロンがバッテリーのAhで電流x時間は Q/s(A)x3600s(h)に相当します。
コンデンサーの直列合成はn列だと C/nに低減しますが、直列電圧がn倍となり、Q=CV から(C/n)xnVなので
  CVクーロンはnに無関係で一定です。
つまり直列の何列でもバッテリー換算の容量mAhと同じく放電できる電気量は一定となり、コンデンサーと同じです。

レモン電池
Q=CVによるバランスなら、等価的にキャパシタンスが小さい程、電圧が高くなると考えられるのであるが・・・
(直列は初期電荷量を維持する初期電圧があって、その状態からキャパシタンスだけが小さくなり電圧が高くなっているのか?)

 ■バッテリーの不活性&活性化とは。
QV平面のミステリー「S」内部抵抗変化との相関、コンデンサーの劣化と補償関係はいかに?
※放電の等価回路は仮定であり精度は不問としています。(仮定から結論を導く背理法の原理)
※温度低下が支配的な不活性化のような化学的問題を物理的な設計によって対応できないか考える努力が必要。


イメージ・・・ 専門用語も多用し、難しい点もあるように思いますが、雑誌社とも相談して解り易く改めた記事にしたいと思っております。
画像のコピペや文言を拾うのはフリーですが、不明点やお問合わせなど一声かけて下さると嬉しいです!  

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